愛着障害の子どもへの対応。保育園では何ができるんだろうか?

保育学生
 

愛着障害の子を保育園で支えていくには、どうしたらいいんだろう?

ともだち
 

愛着障害の子への対応はどうしたらいいのかわからなくて困ってる。



という方いませんか?


元保育士のRisaです。


これまで愛着障害の記事を多く書いてきました。

▼元保育士が書いた「愛着障害」の記事はこちらから。

愛着形成とは?

愛着障害の子どもの特徴とは?

愛着障害と発達障害の関係

愛着障害の問題点



読んでからこの記事を読むことをおすすめします。


今回は、「愛着障害の記事シリーズ」の最後です。


愛着障害の子どもへの対応」を紹介していきます。


愛着障害の子どもへの対応


他の記事でも紹介してきましたが、愛着障害の子は増えてきています。

りさ
りさ

実際、私が担任したクラスにも気になる子が複数名いました。



今回紹介する対応は、この本を参考にしています。



かなり詳しく愛着障害のことについて、書かれていますが、この記事では「現在の保育園に生かすには」という視点で紹介していきます。


愛着障害の子どもを対応するために


愛着障害の子どもを対応するためには、愛着障害は「感情の問題」として考えることです。


愛着障害の子は、感情の未熟さがあります。



本来は、ネガティブな感情があっても乗り越えることができますが、愛着障害の子どもは上記のような状態であり、感情の発達が「1~2歳」であると言われています。


愛着障害の子の感情に期待して支援することは、不適切な支援になってしまうんです。


このような愛着障害の子を援助していくためには、「愛情のモデル」を知ることが大切です。


愛情の器モデルとは


「やさしくわかる愛着障害」の中では、愛情の器モデルが4種類紹介されています。

「やさしくわかる愛着障害」を参考に筆者が作成



①は愛情の器が不完全で、底に穴が空いてしまっています。


このタイプは、愛情を受けても貯めておくことができず、愛情要求が激しいです。


②は愛情の器がないので、愛情の器を作ることから援助が始まります。


このタイプは、人間不信で人に近づこうとしないという特徴があります。


③愛情の受け入れ口が小さいので、愛情の受け取りが苦手です。


このタイプは、自閉傾向がある愛着障害に多いと言われています。愛情の受け入れ口が開いている時に、関わることが求められます、


④は、安定的な器があって、愛情に満たされている状態です。


愛着障害の子どもの対応のポイント


愛着障害の子どもに対応する時のポイントを下記にまとめました。

・愛情の器を作る

・大人が先手で行う

・特定の人との「1対1」の関係が必要

・大人の援助が子どもにどう伝わっているか考える



上記を意識することが、必要だと「やさしくわかる愛着障害」の中で紹介されています。


愛着障害の子どもの対応は、大人が先手である必要があります。

保育は子ども主体で「見守る」ことを意識することが多いと思いますが、愛着に困難を抱えている子には、逆の考え方で関わることが求められます。



大人が先手で関わり、「1対1」の関わりを大切にしながら、愛情の器を作ることが愛着障害の子どもの対応のポイントです。


また、どのように関わるかよりも、大人の援助が子どもにどう受け止められ、愛情を溜めることができたのか、できなかったのかを振り返ることが大切だと言われています。


愛着障害の子どもに必要な関わり


愛着障害の子どもに必要な関わりは、「感情と行動を区別した」対応です。


愛着に困難を抱えている子どもがモノを投げたり、大暴れして部屋から飛び出したりすることがありますが、その行動に目を向けるのではなく、その行動をしている子どもの感情に合わせた関わりが保育士には求められます。

言葉で言うのは簡単ですが、行動ではなく感情に目を向けるってかなり難しいです。



また、愛着障害の子どもの対応の時には、「していいことと、してはいけないこと」を区別するのもよくないです。


たとえしてはいけないことがあっても、まずはやりたい気持ちを受け入れてから、別のことに誘うことが大切なんです。


この一度受け入れられるという経験が、愛着形成に繋がっていきます。


愛着障害の子どもに不適切な対応


ここまでは、ざっくり愛着障害の子どもの対応について紹介してきましたが、次は、愛着障害の子どもには不適切になってしまう対応を具体的に紹介していきます。

・叱る

・褒める

・1対多

・傾聴



上記は、「やさしくわかる愛着障害」の中で、愛着障害の子どもには不適切な関わりとして紹介されています。


「え?それもだめなの?」と思う方もいますよね。詳しく解説します。


叱る


愛着障害の子にとって、「叱る」は全く意味をもちません。

・脱抑制型:叱ると余計にその行動が増える
      構ってもらっていると感じる

・抑制型:不信感が増えて、人間関係が切れる

・自閉症と併存:感情が混乱、大きな攻撃行動に繋がる



愛着障害のパターンによって上記のような違いがあります。

▼愛着障害のパターンがわからない方はこちらの記事から。



愛着障害の子どもの対応は、「先手」がポイントですが、叱る行為は「後手」の支援になります。


また、叱るときに「こんなことされたら悲しいでしょ!」と気持ちを伝えることは、感情発達が未熟な愛着障害の子どもにとって理解することができません。

もちろん、愛着がしっかりしている子は問題ありません。



愛着障害の子を援助したいと思うなら、叱らずに関わること大切です。


褒める


褒めることは、本来子どもの自信や意欲に繋がりますが、愛着障害の子にとっての「褒める」の意味合いは複雑です。


まず、「頑張ったね」「すごいね」などの褒め方は、何が褒められているのかわかりません。


また、保育士が「先生嬉しい!」と伝えても、相手の感情がわからないこともあります。


褒めることで下記のような状況になる場合もあります。



褒めることは、叱るのように全くNGの関わりではないですが、褒めるときは、大人が先手になっていることが必要です。

普段の保育の中でも「褒める」を意識することは多いと思いますが、普段以上に繊細に考えていく必要がありそう、と思う方もいたのではないでしょうか?



1対多


愛着障害の子には、「1対1」の関わりが必ず必要なので、「1対多」の対応は、子どもにとって良くないです。

これが保育園で愛着障害の子どもの対応をするときに最も難しい問題になる気がします。



1人の子どもに対して、たくさんの大人が関わることで、愛着の修復に影響が出てきます。

・愛着対象がわからない

・その場にいる先生に関わってもらおうとする

・色々な人から愛情をもらおうとする



子どもにとって上記のような影響があります。


食事は○○先生、排泄は△△先生などの育児が機械的に交代することも、愛着形成の問題になってきます。


傾聴


保育士は、子どもの話をじっくり聞こうとしますよね。


それも愛着障害の子にはよくない影響があるんです。


愛着がしっかり形成されている子にとって、話を大人に聞いてもらうという行為は、「心の整理」に繋がります。


しかし、愛着障害の子は、心の整理を自分で行うことが難しく、大人がひたすら話を聞いていると、感情が余計に混乱して、感情が爆発してしまうことがあります。

愛着形成ができている子と、そうでない子の関わり方は、本当に違いますね。



今まで保育士といて意識していたことも、愛着に困難を抱えている子にとっては、さらに問題を大きくしてしまう要因になってしまうこともあると考えると、愛着障害の子どもへの対応がいかに難しいかがわかります。




愛着障害の子どもの対応の手順


では、実際に愛着障害の子にはどのように対応していけばいいのか、具体的に紹介していきます。


できるだけ、保育園でも実践可能なように考えてみました。


キーパーソンを決める


まず大切なことは、キーパーソンを決めることです。


愛着障害の子の対応は、「1対1」が基本なので、その子を一番知っている人になれるキーパーソンを決めます。


キーパーソンは、ついクラスのリーダー保育士がやってしまいそうになりますが、本当にそれで対応することができるか考えてみてください。

キーパーソンは、基本的にその子と一緒にいるので、リーダー保育士がキーパーソンになってしまうと、クラスに大きな影響が出てくる可能性があります。



クラス担任が難しかったら、フリーの保育士や役職者などでもいいかもしれません。


それぞれの保育園の状況に合わせて、キーパーソンを決めていきましょう。


また、子どもの特徴に合う先生を選ぶこともポイントです。


キーパーソンがすること


キーパーソンが行うことは、基本的に「感情を教える」ということです。


愛着障害の子は、感情がわからない子が多いので、丁寧に伝えていきます。



感情を伝える時は、上記のようにプロセスも含めて伝えていくことが求められます。


キーパーソンと共に感情を知っていくことで、「この人といると、こんな気持ちになった」という経験をすることができます。


また、ネガティブな感情も「この人と一緒なら大丈夫」と思えるようになってきます。


キーパーソンの先生と子どもが毎日することを「やさしくわかる愛着障害」の中では、下記のように紹介されています。

・朝:1対1になって感情のチェックをする

・チェック後:何か一緒に行ってプラスの感情を体験する

・夕方:1対1になって今日の振り返りをする



上記を保育園でするときは、朝すぐ1対1になることは難しいので、登園時間が終わったら「1対1」の時間を取れるといいかもしれません。

「1対1」の状況を毎日作ることを考えても、キーパーソンはリーダー保育士よりも別の先生のほうがいいと思いませんか?



時には、キーパーソンが関わることができない時もあるかもしれませんが、その時はキーパーソンの先生が、子どもの前で他の先生につなぐことが大切です。(これが先手対応になります)


キーパーソンと子どもの関わり方


保育園の中では、キーパーソンとの関わりだけでなく、お友だちとの関わりもありますよね。


お友だちとやり取りも、キーパーソンの保育士が一緒に行うことが大切です。


お友だちとの関わりは、下記のステップで行います。

①他者とのやりとりは全て仲介する

②見守る

③キーパーソンと離れる時に約束する



普段の保育でやっていることとは、かなり違う関わり方になるかもしれません。


①は、子ども同士のやり取りを全てキーパーソンが仲介して行います。


その中で、お友だちの行動と感情をリンクさせて教えたり、どのように関わることがよいのかを知らせたりします。

仲介をしてスムーズにやり取りができるようになってきたら、次のステップです。



②は、子ども同士のやり取りを近くで見守りながら、間違っている部分は、「こうするんだよね」と伝えます。


ここで、否定したり叱ったりしないように気をつけましょう。

②は、保育士がよくする援助なので、イメージしやすいですね。



③になると、子どもが自分だけでお友だちと関わりにいきます。


お友だちのところに行く前に、今まで教えてきたことをキーパーソンと確認し、遊び終わったら、キーパーソンと振り返りをします。

・なぜうまくいったか

・なぜうまくいかなかったのか



上記を中心に確認して、できたことは認めていきます。


トラブルが起こったときは?


お友だちと関わっていると、トラブルが起こることもありますよね。


愛着障害の子のトラブルは、感情がむき出しになってしまうことが多いですが、その時にトラブルを解決しようとはしません。


一度、離れて落ち着く時間、考える時間を持てるようしましょう。

相手のお友だちにも、状況を説明します。



落ち着いたら、感情を受け止めてください。


愛着障害の子には、先手の対応が必要なので、できる限り感情むき出しのトラブルにならないように、保育士が先手で関わるように心がけることも必要です。


担任が替わるときは?


保育園では、担任の先生が変わることがあります。


その際、キーパーソンが変わらない場合は問題ないですが、キーパーソンが変わらなければいけない状況の場合、今のキーパーソンと次のキーパーソンと子ども3人で、話をする時間を作りましょう。


今のキーパーソンが主体で話をすることで、キーパーソンが変わることを子どもも受け入れやすくなります。


キーパーソン以外の先生がすること


キーパーソン以外の先生は何をすればいいのか?


これも大事なポイントですよね。


キーパーソン以外の先生がやることは、「つなぐ役割」です。


時には、キーパーソン以外の先生のところに、「先生やって!」などと来ることありますよね。


そんな時は、

「ああ!それは、○○先生ができるから一緒に行こう」



このように、キーパーソンの先生のところに連れていきます。


もし、キーパーソンの先生が空いていない時は、空くまで一緒にいて、手が空いたタイミングでキーパーソンの先生のところに連れていってください。


また、情報を共有することも大事です。


子どもがいないところでの情報共有はもちろん、キーパーソン以外の先生が関わった時は、子どもの前でキーパーソンの先生に情報を報告します。


あくまでも愛着障害の子に関わるのは、キーパーソンの先生なので、周りにいる先生は、それをつなぐ役割に徹しましょう。


愛着障害の子どもの対応は難しいです


ここまで、愛着障害の子どもの対応について紹介してきましたが、

保育学生
 

これは大変だ。考えなければいけない問題がたくさんある…。



そんな風に思った方が多いのではないでしょうか?


愛着障害の子どもの対応を保育園でしようとすると、かなり難しいです。


そう簡単にできるわけではありません。


保育士がまずやること


愛着障害の子どもに援助をしていきたいと思っている保育士さんがいるならば、まず「クラス担任」「役職者」と話し合う場を設けましょう。


愛着障害の子どもの援助は、一人では絶対にできません。


クラス間の協力、保育園全体の協力が必要になります。


愛着の問題は、年齢が上がるほど気になる行動が増えていきますが、保育園は年齢が上がるほど保育士の数が減っていきます。

個人的には、支援児に加配保育士がつくと同じように、愛着が気になる子にも加配の保育士をつけるようになればいいなと思います。



しかし、それは現状難しい保育園が多いですよね。


難しいなら、話し合いを重ねて、できる限り援助することができる体制を各園で作っていくことが必要ではないでしょうか?


愛着障害のことをもう少し学びませんか?


保育園で話し合うことはもちろん、「愛着」や「愛着障害」について学ぶことも保育士には求められています。


ここまで、複数回に分けて紹介してきましたが、紹介できたことは、ごく一部です。


さらに詳しく学びたいという方は、ぜひ本を読んでみてください。



これを読めば、愛着の形成について、愛着障害の子への対応について、保護者支援などについて学ぶことができます。


虐待が原因の愛着障害について、学びたい方は、これがおすすめです。



虐待も愛着障害の原因ですが、上記の本は「虐待」の子の支援などについて学ぶことができます。


「愛着」は保育士にとって、切り離すことができないテーマの1つです。


ぜひ、この機会に学んでみてください。


ということで、今回は終わりにします。

▼保育に関係する記事はこちらから。

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