自閉症スペクトラムの子が過ごしやすい保育園20の場面から考えよう

保育学生
 

自閉症の子が過ごしやすい保育園にするにはどんなことを意識すればいいのかな?

ともだち
 

自閉症の子の具体的な関わり方が知りたい




という方いませんか?


元保育士のRisaです。


大学時代は、「特別支援教育」を学び、自閉症の子どもともたくさん関わってきました。


今回は、「自閉症スペクトラムの子の保育の具体的関わり」について紹介していきます。


これを読めば、保育のヒントが見つかるはずです。


自閉症スペクトラムの子が過ごしやすい保育園


自閉症スペクトラムの子が過ごしやすい保育園にするためには、自閉症スペクトラムについて知ることが必要です。


まず、自閉症スペクトラムという言葉を知っていますか?


自閉症スペクトラムとは


自閉症スペクトラムとは、発達障害のひとつであり、

・対人関係が苦手

・コミュニケーションが苦手

・こだわりが強い



上記のような特徴があります。

▼自閉症スペクトラムについて知りたい方はこちらの記事を参考に



自閉症スペクトラムには、自閉症、高機能自閉症、アスペルガーなどがありますが、保育園にはどの子もいる可能性があります。


自閉症や高機能自閉症、アスペルガーの違いは下記を参考にしてください。



自閉症スペクトラムの子は保育園で困っている


自閉症の子どもを保育するときに、知っておくべきことは、「自閉症スペクトラム」の子は保育園で困っているということです。

・対人関係

・コミュニケーション

・こだわり



上記だけでなく、

・感覚が敏感である

・自分の正しいと思っていたことが違う

・強く否定されたような感じを受けてしまう



このような困難も抱えながら生活しています。


自閉症の感覚は敏感で、相手は否定したつもりがないのに、強く否定された気持ちになったり、失敗したことが強く印象に残ったりすることがあります。


また、相手はちょっと注意しただけなのに、めちゃくちゃ怒られてしまったと感じることもあります。


そういった経験をたくさんすることで、「自己肯定感の低下」に繋がることがあります。


このような特性がある自閉症の子を保育するときは、

子どもの困っていることに気づく
  ▼
援助する・見守る



これが必要なのではないでしょうか?


保育士も自閉症との関りで困っている


自閉症の子が保育園で困っているのと同時に、保育士の中でも困っていると感じる方がいるのではないでしょうか?

・急なパニック

・コミュニケーションがうまくいかない

・気持ちの切り替えがうまくいかない



上記のような状況に、「どうしたらいいの?」と思ってしまうこともありますよね。


困った時は、先輩保育士や園長、主任などに相談する方が多いと思いますが、そういった方が発達障害について理解がない、知識がないということもあります。


こんな状況で、保育をしなければならない保育士は、きっと困っているはずです。


自閉症のスペクトラムの子と保育園での対応(20の場面から)


困っている保育士も多いと思うので、今回は保育園でよく見られる20の場面について、自閉症スペクトラムの子の対応を紹介していきます。


自閉症スペクトラムの子は、一人ひとり異なるので、あくまでも参考程度で見て、実際に対応するときは、その子に合わせた関わりをしてあげてくださいね。


①抱っこが苦手


自閉症スペクトラムの子の中には、感覚が敏感で抱っこをしようとすると、のけぞって嫌がる子がいます。


そういった子には、

・無理に抱っこしない

・肌質のいい服を準備する



このような対応をしましょう。


感覚が敏感な子は、抱っこの感覚を不快と感じることが多いので、無理に抱っこをする必要はありません。


②お友だちに興味がない


お友だちに興味がないと、心配になって「お友だちとの交流をしてほしいな」と思いますよね。しかし、

・無理に遊ばせる必要はない



これで大丈夫です。


遠くからお友だちのことを感じていることもあります。


また、音などに敏感な子は、お友だちの近くにいるよりも、少し距離を取っていた方が安心できることもあります。


③感情の共有が苦手


感情の共有が苦手な子には、一緒に遊んだタイミングなどで、ポジティブな感情を保育士が言葉にして共有するようにするといいかもしれません。


また、「褒める」ことも意識してみてください。


きっと、褒められた自閉症スペクトラムの子は、表情では表さなくても、嬉しいと感じているはずです。


そういった経験が、感情を知ることに繋がっていきます。


④いつまでも場所やおもちゃを独占している


独占しているときは、

・満足がいくまで遊ばせる
 (状況的に問題なければ)

・ルールを教える
 (ルールを知らないことが多い)

・タイマーを使って見通しを持てるようにする



上記のような工夫をするといいですよ。


自閉症の子は、自分が独占しているという感覚ではなく、遊びたいから遊んでいるというイメージで遊んでいることも多いです。


そういったことを踏まえて、関わってあげるといいかもしれませんね。


⑤こだわりが強く普段と違うとパニックになる


パニックになってしまうことがわかっているなら、その子のこだわりをできるだけ認めてあげましょう。


また、パニックになったら

・落ち着ける場の提供
 (しきり、一人用テント、一人になれる部屋)



パニックになった気持ちを、落ち着かせることができる場所を用意してあげると、比較的早く落ち着くことができるようになるかもしれません。


⑥くるくる回っている


くるくる回るだけでなく、手のひらをひらひらしたり、ジャンプしたりする姿を見られると思います。


そういった行為は、「自己刺激」と言われ、不安や緊張を感じている時に見られることが多いです。


自閉症スペクトラムの子が、くるくる回っていたら、不安を感じる要素はあるのか、その子の周りの環境を見て不安要素を排除してあげると、安心して落ち着くことができることがあります。


⑦相手の気持ちがわからない


自閉症スペクトラムは、相手の気持ちがわからず、お友だちや保育士に対して、不快にさせる言葉を言ってしまうことがあります。


そういったときは、言われて嫌なことは、はっきりと伝えることが必要です。

〇「バカはお友だちには言わないんだよ」


×「バカを言うと、お友だちは嫌な気持ちだよ」



自閉症スペクトラムの子は、大きな声だと怒っていると勘違いしてしまうこともあるので、優しく伝えるようにしましょう。


また、上記のように「嫌な気持ちだよ」は自閉症スペクトラムの子には、わかりにくい表現です。

「嫌な気持ち」がどんな気持ちかわからないことがあります。



なので、はっきりと「言わないよ」と伝えたほうが、自閉症スペクトラムの子にはわかりやすい表現になります。


⑧抽象的な表現の理解が難しい


自閉症スペクトラムの子は、表現を理解することが難しい時があります。

・頑張って!→何を?

・冗談

・ユーモア



上記のような表現の理解が難しいことがあるので、こういった表現は、1つずつ丁寧に教えてあげましょう。


教える時も、抽象的な表現を使わないことがポイントです。


⑨大きな音に敏感


音だけでなく、匂いや視覚、触覚など全ての感覚に敏感なことがあります。


苦手な感覚がある中で生活することは、自閉症スペクトラムの子にとっては、ストレスになるので、排除できることは、排除しましょう。


また、保育室から刺激を全てを排除することは難しいので、保育園の中に静かで刺激が少ない場所を作っておくと、いいかもしれません。


⑩偏食


自閉症スペクトラムの子には、味覚に敏感で偏食な子がいます。


まず、私たちの味覚と自閉症スペクトラムの子の味覚は違うことを知っておくことが必要です。


苦手なものは無理に食べさせる必要はありませんが、その子の様子を見ながら、様々な食材に触れることができるように関わることも大切です。

偏食をそのままにしておくと、お菓子しか食べないという状況になってしまうこともあります。



無理はせず、ただ栄養は取れるようにするを意識していきましょう。


⑪遊戯が難しい


自閉症スペクトラムの子は、同時に2つ以上のことをすることが苦手という特徴があります。


そういう子には、1つずつ練習することが大切です。

・音楽を聴く
  ▼
・音楽を覚える
  ▼
・ダンスを教える



上記のように1つずつ練習していきます。


また、何かを伝える時も、「○○をします。それから△△をします」というように、1つずつ伝えると、理解しやすいです。


⑫自己流のルールがあり柔軟に動けない


自己流ルールはできる限り認めて、本人が安心して過ごせるようにします。


どうしても変更しなければいけない時は、

・事前に伝える

・伝える時は視覚的にわかりやすく伝える



上記を大切にしてください。


事前に伝えることで、変更の時のパニックを軽減することができるかもしれません。


⑬運動が苦手


自閉症スペクトラムの子は、身体を動かすことが苦手な子がいます。


特にルールがある運動遊びは、ルールを理解するのが難しくて、遊ぶことができないことがあります。

・ルールを簡潔にする

・道具をわかりやすくする

・色を使って見た目でわかりやすくする

・イラストを使ってルールを説明する



上記のような工夫をすると、参加しやすくなります。


また、走るなど単純な動きは好きな子も多いので、そういった運動遊びで思いきり楽しめるように関わっていきましょう。


⑭ルールが守れない


自閉症スペクトラムの子がルールを守れないときは、ルールを知らないだけ、という場合が多いです。


ルールを守れていない時は、否定するのではなく、個別で肯定的にルールを簡潔に伝えると、理解することができるかもしれません。


⑮帽子のゴムが苦手


自閉症スペクトラムの子は、感覚が敏感なので、帽子のゴムが苦手で帽子をかぶることができないことがあります。

・ゴムを緩めにする

・リボンにする



上記のような工夫をしていきましょう。


また、どうしても帽子をかぶらなければいけない場合以外、無理にかぶらせなくてもいいかもしれません。


⑯理由がわからないパニック


自閉症スペクトラムの子は、時々理由もわからずパニックになることがあります。(本人にしかわからない理由があるのかもしれません)


そういった時は、本人も自分のことが分からなくなっていることが多いので、

・行動を言葉にしてあげる

・場所を移動する

・落ち着くまで待つ



上記のように対応してあげると、落ち着きやすいです。


行動を言葉にするときは、言い過ぎに気をつけてください。


何度も言葉を繰り返し伝えることで、自閉症スペクトラムの子の中に入っていく情報が多すぎて、余計にパニックになってしまうことがあります。


⑰お友だちとのトラブルが絶えない


自閉症スペクトラムの子の中には、お友だちの話を理解することが難しかったり、加減をしながら遊ぶことが難しい子がいます。

・お友だちの話を理解することが難しい
 →簡潔にわかりやすく伝える

・加減が難しい
 →様子を見て止める



上記のように関わることが必要になってきます。


特に、戦いごっこなど加減が必要な遊びは、自閉症スペクトラム子にとっては難しく、どうしても本気になってしまい、気持ちが興奮して抑えられなくなってしまうことがあります。


興奮してしまうと、パニックになってしまうこともあるので、その前に止めてあげる対応が必要かもしれません。


⑱お部屋でふらふらしている


自閉症スペクトラムの子は、保育室や園庭でふらふらしていることがあるかもしれません。


そういった姿を見せる時、その子は「何をして遊んだらいいのかわからなくなっている」ことが多いです。

・絵本読むよ

・おままごとで遊ぼう



と何をするかを提示してあげることで、遊ぶことができることがあります。


自閉症スペクトラムの子にとって、「自由」は難しいことがあることを覚えておくといいでしょう。


⑲大人にばっかり話をする


自閉症スペクトラムの子の中には、お友だちと話をせず、大人とばかり話をする子がいます。


大人は、自分に話を合わせてくれるので、話のストレスが少ないことをわかっているからこその行動です。


話ができる時は、その子の話をゆっくり聞いてあげることで、その子の気持ちを満たすことができます。


⑳行事になるとパニックになる


自閉症スペクトラムの子にとって、普段と異なる行事は、不安でしょうがない状況になります。


行事などは、急に参加させるのではなく、

・場所に慣れる

・雰囲気に慣れる

・リハーサルに参加する



上記のように、少しずつ参加でできるように、他の子以上にスモールステップで関わるようにしていきましょう。


▼もっと関わり方や対応について勉強したい方はこの本がおすすめ



さらに具体的に、学ぶことができますよ。


自閉症スペクトラムの子に保育士ができること


ここまで具体的な場面での保育士の対応を紹介してきましたが、自閉症スペクトラムの子に関わる保育士として、最も大切なことは、

その子の理解者になること



これが大事です。また、

・その子の特性を知る

・信頼関係をつくる

・安心できる環境をつくる

・良いところを見つけて認める

・頑張らせない

・愛情を与える



上記のようなことを意識していくことで、保育に生かすことができます。


他にも、意識するとよいことを紹介していきます。


伝える時は簡潔に


自閉症の子に伝える時は、「簡潔に」が基本です。


また、1度にたくさん伝えるのではなく、1つずつ伝えることも大切です。

伝える時に順番を間違ってしまうと、子どもも保育士もパニックになってしまうので気をつけてください。



保育園の中で安心できる場所をつくる


保育室は、他の子どもが自由に遊んでおり、大きな音やたくさんの動きがあるので、自閉症スペクトラムの子にとっては、生活しにくい環境です。


そこで、保育園の中に安心できる場所を作ることをおすすめします。


1か所作っておくことで、自閉症スペクトラムの子だけでなく、他の発達障害の子、パニックになってしまう子など、どんな子も使うことができます。


十分頑張っていることを認める


自閉症スペクトラムの子は、目には見えないことも多いかもしれませんが、とっても頑張っています。


しかし、できないことがあると不安になったり、お友だちとうまくいかなかたりするともっと頑張ろうとする子が多いです。


そういった頑張り屋さんの自閉症スペクトラムの子のことを、認めてあげましょう。


自閉症のスペクトラムの保育園での加配について


保育園によっては、自閉症スペクトラムの子に加配の保育士がつくことがあります。


加配の保育士がつくことによって、その子が安心して保育園で生活することができる場合が多いですが、逆にその子の活動が制限されることもあることを知っておくことが大切です。

・無理に活動に参加する

・その子の遊びに加配の保育士がつきっきり

・できないことを無理にやらせようとする



上記のような対応は、注意が必要です。


加配の保育士は、あくまでもその子がその子らしく保育園生活を送るためにいます。


間違っても、みんなと同じように生活するためではないことを、覚えておいてください。


自閉症スペクトラムの子にとって保育園での生活は大切


自閉症スペクトラムの子にとって、保育園での生活はとっても大切です。


ここでの生活や経験が、その子の将来に影響していきます。


自閉症スペクトラムは二次障害のリスクがある


自閉症スペクトラムの子には、二次障害のリスクがあります。


二次障害は、幼児期には見られることは少なく、思春期以降に見られることが多いです。


その原因の1つに、乳幼児期から少しずつ自己肯定感が低くなってしまうことがあります。

・失敗経験

・叱られた経験

・自己否定された経験



自閉症スペクトラムの子は、特に敏感に感じてしまう特徴があり、上記のような経験が思春期になって、二次障害として表れてしまうことがあります。


保育園での関わりが自閉症スペクトラムの子の将来に繋がる


自閉症スペクトラムの子が成長しても、その子らしく生活していくためには、保育園での関わりや経験がとっても重要です。


保育園でたくさんの成功体験や、認められる経験をした子は、自己肯定感が高いまま成長することができます。


また、適切な援助を受けることによって、できなかったことができるようになる成功体験にも繋がっていきます。


自閉症スペクトラムの保育はその子を理解することから


ここまで、自閉症スペクトラムの子どもの保育について、具体的な場面での対応を紹介してきました。


しかし、最も大切なことは、「その子を理解すること」です。

・特性を知る

・好きな遊びを知る

・苦手な場面を知る



結局大切なことは、普段保育で意識していることを意識することです。


その中で、自閉症スペクトラムについて、保育士が勉強することで、より子ども理解をすることができたり、保育に生かしたりすることができます。


ぜひ、どの子も楽しく過ごすことができる保育を目指してみてください。


ということで、今回は終わりにします。

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